川越にあたらしくオープンしたパン屋さん「パンピーポー」のデザイン・施工をさせてもらいました。9/23(金)の秋分の日に無事オープンしました。
店主の若松さんが以前Barとして営業していたお店をパンの製造所兼販売所につくりかえたいと知人の紹介から相談がありました。元のお店は若松さんのDIYを超えるレベルで厨房を制作したり、ファサードの仕上げを手掛けたりとご自身で器用になんでもこなします。
以前別の場所でパン屋をしていたり、夜のじかんはBarをしたりと自身がやりたいと思うイメージを実現してきて、最終的に川越新河岸のランドマークになるようなパン屋をやりたい!と今まで理想として思い描いてきた外観や、気持ちの中に溜め込んできた‘好き’を形にするためにこの場所をパンの製造所兼販売所にすることを決断しました。
店舗デザインのコンセプトはかわいいと、かっこいいが入り交じるような店にしたいとのご依頼。さいしょはピンときませんでしたが、若松さんのパンづくりに向かう姿勢と、ふだんの陽気な人柄がまさにその通りだなと腑に落ちました(笑)。
今回の仕事は主にお店のファサードのつくり替えです。古い建物なので建物の強度や構造については「暮らし相談デスク」でも毎月お世話になっている入間市の設計事務所「独楽蔵」の設計士長崎さんにも現調してもらい、入り口をやり直すにあたっての補強の説明をしてもらいました。
お店の外観を解体して、勾配がきつくものが置いたりできなかったスロープもやり変えていきます。
僕は古材や古建具をあつめ、それににあう塗装の色や植物が元気に育ち、映えるための工夫を外観のデザインに組み込んでいきました。
店主の若松さんが育てている植物たちは一時的に家の奥の方へ追いやられ、それでも明かりが差す場所で養生しているあたり愛情を感じます。そのような植物たちを見てそれも店の看板として元気に育ってくれたらいいなと思いました。
店の正面は2階にある住まいの玄関でもあります。大型のオーブンが搬出できるようにと引き違い戸の間口は広く、残りのスペースがショーケースと対面販売のカウンターになります。スペースが限られていたので、対面販売のカウンターに付く上げ下げ窓はオリジナルで制作しました。
上部の明かり採りは植物の採光のためと、風が当たるように回転式窓に。
塗装はいつもお願いしている栄心美装さん。僕の細かい注文を現場で調整しながら理想の色と艶かげんにしてくれます。アンティークや古いものと合わせる塗装は既存の色や艶では少し合わないような気がしていて、新規に塗装はしているけれど、もともとそのような色であったかのような艶かげんや風合いを大切にしています。
お店の外灯はシェード部分が木の轆轤挽きでつくられたRECORDさんの作品。RECORDの齋藤さんとは以前職場がいっしょで、10年以上の付き合い。先日千葉県野田市にオープンした旧中村商店内に工房を構えています。
9/23(金)秋分の日。お祝いのお花を届けに朝の忙しいじかんお邪魔してきました。お花は「暮らし相談デスク」で暮らしブーケを制作しているLa.montagne flowerの下山さんにお願いしました。スタンドは先日届いたフランスのアンティークバスケットを。
久しぶりのパン屋再開。今まで蓄えてきた気持ちが一気に放出するように、たくさんのパンの種類と量がつくられていました。
地産の小麦ハナマンテンなど、こだわり抜いた原料で、今までつくり続けてきた好きなパンをあらためて焼く若松さんの姿は生き生きとして格好良い。
お店の入り口も平らになり好きな植物が飾られ、かっこよさと、かわいらしさと、若松さんの人柄が表れているようなしつらえに。
グランドオープン日はオープン前にして長蛇の列。若松さんのお人柄や地域に根付こうと思う気持ちが今日のようなオープン日になり、それに加われた僕もしあわせです。
うれしそうに握っていたのが印象的だった真鍮でつくったロゴも対面カウンターの前の土間に埋め込まれ、インスタスポットとして活躍しています。
9月は残り29日(木)、30日(金)が営業、10月からは水・木・金・土でオープンします。10月はイベント出店をともにする機会があり、11月はREFACTORY antiquesにも登場してもらう予定です。どうぞお楽しみに。
すばらしくおいしいと評判のパンです。僕もお店づくりに関わりながらパンをいただきそのおいしさと、完成された美しさにファンになりました。ぜひお試しください。よろしくお願いします。
パンピーポー 埼玉県川越市砂新田1-19-8