タイのホテルで接客の仕事をしていたタラクサ美和さん。
ピーラバットさん(愛称プレミー)がウエブデザイナーとして
後から入って来たことが2人の出会い。
仕事を通して親しくなり、その後結婚。
ご主人のプレミーは大学でプロダクトデザインを学び、
自身が求めていた良い時計が無いから友人と一緒に作ろうかと
話した事がきっかけで腕時計作りを始める。
2014年、日本に一時帰国するタイミングで「東京デザイナーズウイーク」に出店することに。
その翌年「東京デザインフェスタ」にも出店し、国内外から思った以上の反響を得る。
日本での出店を通して、日本人の手仕事への関心の深さに気が付き、
2016年からNAKARI WATCH JPとして本格的に
日本に向けた腕時計作りを始める事になった。
2017年に日本移住を決意。タイからインターネットで家探しを始める。
外国人、機械音、ペット可など希望の条件で検索すると
飯能、青梅、長野の3件のみがヒット。
日本でのクラフトマーケット出店に合わせて行った内見、
1件目の飯能の物件で条件を満たすばっちりな間取りと出会い即決。
縁もゆかりもない場所ではあったが、近くには商店街があり、
スタバなども発見し、これはイケるなという想いが強くなったと美和さん。
暮らしてみると電車も便利で過ごしやすかった。
なによりご近所さんがとにかくいい人だった。
色々な方も紹介していただきすぐに新しい繋がりが生まれた。
タイにいた時は必要がなければ家から出なかった。
道路の舗装が悪く、車もバイクもいっぱいで渋滞も多い。
ふたりが大好きな自転車も
バンコクの中ではたびたびパンクしてしまうことも。
お正月は人が外出しないので美和さんが唯一自転車に乗れるときだったそう。
日本ではいつでもどこでも自転車に乗りやすいし、
空気も綺麗。飯能に来てからプレミーの肌のアレルギーも改善された。
タイと日本の気温差や風土の違いは作品づくりにも影響した。
冬の乾燥というのはタイにはなく、
日本に来てからは同じ作り方では木が割れてしまった。
以前は木部に施す仕上げを2回で終わらせていたが、日本では3~4回になった。
前より2倍から3倍時間はかかっているが仕上がりはよりきれいになった。
ステップは増えたが、様々な気付きのおかげで
制作方法もアップデートを繰り返しながら常に品質の向上は続いている。
湿気が多い時期は製品に支障がないように制作を控える事も。
そんな時は好きなパン作りを楽しみ、川や山へ行き、リフレッシュする。
タイから遊びに来てくれる友達や家族も飯能の環境を気に入っていて、
地域を案内することも楽しみの一つになっている。
タイでは委託販売が中心だったが、日本に来てから
全国各地でクラフトマーケットが開催されていることを知る。
遠方までの移動は大変だが、それ以上に景色の良いところを回れたり、
各地のおいしい食べ物をいただいたりしながら
楽しんで様々なマーケットに参加している。
そのような活動をSNSなどで発信し、タイや全国でできた友だち、
見てくれているお客さんがその土地その土地の魅力も合わせて感じ取ってくれればと、
人や地域との関わりも大切にしながら活動を続けている。