大学の同級生であった奥さんの太田麻奈美さんは大学で鋳造、
ご主人の文悟さんは彫刻を学び、卒業後飯能に
アトリエを構えたいという文悟さんの希望から飯能へ引っ越してきた。
そこでの最初の暮らしは飯能の山奥にあった水道も通っていない
80畳のプレハブ小屋造りの元印刷工場。
そこに住みながらオーダーを受けて
仕事をしていたのが飯能での暮らしの始まりだった。
最初水道が引けるまでは近所にいた知り合いの家に
お風呂を借りに行っていた、その頃から結構サバイバルな生活だったと麻奈美さん。
今思えばよく住んでたなと思う、20畳のリビングに20畳の寝室。
寒いよ(笑)あとの40畳はなんでもない空間。
その後、もともと造形屋さんの工房として使われていた今の家は、
知り合いだったのでちょくちょく遊びに行っていて
ここいいよねという話をよくしていた。
そこを使っていた方が工房を返すという話を聞いて
日高に住まいと工房を移す事に。
今も当時も住まいはお手製。
部屋の中央に配置された薪ストーブも金属造形を生業にする文悟さんの作品。
広いテラスもひとつの部屋のように使える住まいは川に降りる事もでき、
ここで生まれ育った子供たちも、そのような環境を気に入っていて、
手づくりの暮らしを満喫している。
ご夫婦がそれぞれ子供の頃から使っていたものがここにはある。
自ら造ったもの、子どもたちのいつかのお気に入りも
時を重ねた跡は家の方々に格好良くディスプレイのように佇む。
子育てをしていた時期、子供を連れて息抜きができる
ちょっと買い物したいお店が近くに欲しいなと思い、
そういった場所が近くになかったので、自ら店を始めるため
工房の裏の部屋をリノベーションしてcomagomaをオープンさせた。
そんな自宅でやっていたカフェはここ2年間休業していたが、
友人が飯能の商店街でやっていたLIVEカフェを移転させることになり、
仲間内でLIVEができなくなる寂しさや、
地域に馴染んだカフェがなくなるのが名残り惜しいという話があり、
日高にあったカフェを飯能に移すことに。
2019年6月にcomagomaとしてリニューアルする。
商店街の中に移った事で車がないと行けなかった日高のカフェと違い、
通り掛かりの人に声をかけてもらえるようになり、
ふらっと歩いて来てくれる方が増え、人との関わりがより楽しくなった。
家具や棚類などの調度品はご主人が担当。
椅子やテーブルは日高でやっていた時に使っていたものを塗装し直した。
カウンタースペースは今回のためにオリジナルで制作。
全て手作りのワンプレートランチは一皿の中でおいしく食べられることはもちろん、
彩りや見て楽しめることも大切にしている。
食べたり見たり聞いたりして、喜んで帰ってもらう事が一番の喜びですと麻奈美さん。
雑貨がないのが寂しいと前の店からのお客さんに言われるので、
買わなくても見ているだけで可愛いなって気持ちが喜ぶような
雑貨のセレクトも少しずつ増やしている。
訪れると明るい気持ちにさせてくれ、
帰る頃にはポジティブな気持ちに溢れさせてくれるカフェcomagoma、
今までのバトンを受け繋ぎこれからライヴや作家さんの個展なども行っていく予定だ。