去年に引き続き梅雨のじかんにできることをテーマにした企画展【季を思い 節を書く2022】を開催しました。6月は晴れれば夏を思わせる暑い日になりますが、空模様は行ったり来たり季節の変わり目です。
少しでも家にいるじかんが増えるなら、日ごろできなかったことに気を留めて盛んな夏が来る前にできることを進んでやりたくなるような提案をさせてもらいました。
僕自身も春ころからイベントシーズンになり生活に気を留めるじかんが減って、できなかったことがどんどん溜まっていきます。ですので梅雨時は少し落ち着いて座って文章を書くじかんを作ったり、夏に向けた家事の準備を進めたり、植物の世話を進んでしたくなるのです。
文章を書くのはパソコンへ向かうことが多いですが、こまめな一筆は気に入った文房具を取り出して日ごろの感謝を伝える大切なじかんになっています。自身を反省するじかんにもなりますし、勢いよく過ぎ去っていく日々を客観的に立ち止まってみるじかんにもなります。
ガラス作家の山﨑さんに作ってもらった硝子ペンもそんなじかんをつくるのに役立っています。自分好みの文房具が身近にあると、書くじかんがたのしくなりますよね。
夏支度の始まりは衣替えと風鈴を窓辺に吊ることからはじまります。今年は藍染めを知るきっかけがあったので、風鈴の風受けも藍染めしてより涼やかに。ひとつひとつ異なる音色はデザインと同じくらいどの音色にしようかと選ぶ楽しみがあります。
風鈴の和紙を漉いてくれたのは和紙造形作家の加茂孝子さん。照明器具の和紙の貼り替えをお願いするようになってから僕自身和紙に興味を持ち、和紙の産地のひとつである埼玉県小川町へ行って和紙のことをいろいろ知る機会になりました。
すべての工程が手作業で、手間と技術がすごいのに、一般普及品としてあった紙という存在であるがために完成した和紙はとても控えめに佇んでいる印象です。
いろんな種類の和紙を見て、生活によく馴染む自然な色をしていることや、紙の表面に柔らかい質感があること、透かした時に作者の心が見えるような繊維がはっきり見えることにとても魅力を感じました。
なので平面的にただ紙として扱うだけではなく、順光や逆光を使って様々な角度から和紙を見られると、自然の素材から人が1枚ずつ作っているものとして感じられるのでいいなと思い、両面から見られるフレームをつくりその魅力を伝えられるようにしました。
初夏を感じる草花を準備してくれたのは入間市のフローリストLa.montagneの下山さん。今年も季節のブーケを束ねてくれました。戸建てに住んでいると今の時期は雑草との戦いにもなりますが、植物を丁寧に飾るじかんができると苦にしていた草刈りもちょっと家に飾ってみようと思える心のゆとりが生まれ、すがすがしい朝が迎えられます。
去年に引き続き盛況に終わりました企画展、雨続きの梅雨をプラスにできるような提案が地域の作家さんたちと共にできている有意義な企画となっています。これからもライフスタイルに働きかけられるようなシーンを皆さまと共有できるようにしていきたいです。
7月もどうぞよろしくお願いします。